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梨田監督の体が一回、二回と宙を舞った。近鉄が優勝した−−。
そう錯覚させるような劇的なシーンだった。
シーズン終了後に合併が決まっているオリックスとの最終戦。
離れ離れになるナインが監督に内緒で計画した胴上げだった。
輪の中にはオリックスの吉井や大島ら近鉄OBの姿も。梨田監督は「胴上げは協約違反だよ。
ちょっと目頭が熱くなった。あれが日本一の胴上げならな」。しみじみとした口調になった。
最終戦を白星で飾ることは出来なかった。それでも二回に鷹野が先制の左越えソロ。
四回には北川も左越えに同点ソロを放った。55年の歴史に幕を降ろす試合。
最後まで近鉄らしい“一発”を見せた。
リーグ優勝4回。ローズ、中村ら強力なホームランバッターを擁し、「いてまえ打線」の
異名を取った打撃力で、優勝したのはわずか3年前のことだ。
中村が「まさかこんなことになるとは思わなかった。
日本一になることが目標だったのに」としんみりと語った。
12球団で唯一日本一になれなかったのが近鉄だ。
今季、合併騒動の渦中にありながら、選手は残された最後の機会だと、力を振り絞った。
結果は5位。ただ、最多勝を獲得した岩隈や1軍に定着した大西ら若い芽が育った。
梨田監督は彼らに「少しでも長くユニホームを着てほしい」とエールを送った。
近鉄の魂を受け継いだ若き猛牛たちが、きっと新天地でも暴れてくれることを願って。
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